読書の記録

No.130 2005.11.25

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きれぎれ /町田康

(文藝春秋 /平成12年発行)


 芥川賞受賞作「きれぎれ」と「人生の聖」を収録。どちらも「夫婦茶碗」に比べると、よりシュール。妄想と現実が入り混じり、場面はあちこちに飛んで、コラージュのような文章。でも全体としての勢いや流れや統一感はある。そういう試みをしようってのが偉いし、やりきったからすごいよね。

「きれぎれ」は、働かないどら息子が母の設定したぶさいくな女との見合いをご破算にしてランパブ嬢と結婚するが、ぶさいくだと思っていた女は本当はあり得ないほど美人で、昔ライバルだった画家と結婚したのを知って嫉妬して…まあ粗筋は書いてもあれか。躍動するイメージがすごい。そのへんにありそうな出来事なのに、このイメージが主人公のやりきれなさを表現していると思う。

「人生の聖」は、頭の皮膚をスケルトンのカバーに変えて脳みそが見えるように体を改造した男の話。気持ちいいほどやっちゃってくれて、それでいて嫌味がない。ぐろいんだけど、不快じゃない。丁寧に作られているせいじゃないかな。爆弾は爆発するその瞬間までは丁寧に扱われるのと同様、丁寧さと技術の土台があって初めて大爆発が成り立つんだと思う。

 芥川賞選考委員ナイスジョブ。



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