読書の記録

No.124 2005.11.3

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鍵・瘋癲老人日記 /谷崎潤一郎

(新潮文庫 /昭和43年発行)


 中編2作収録。どちらの作品も、日記形式の文章で、一人の男の目から見た徹底的なフェチシズムが描かれている。主人公は初老の陰湿な夫であったり、よぼよぼなのに息子の嫁に手を出す老人だったり。彼らの老いや衰えや醜さが生々しく描写されているからこそ、女のみずみずしい小悪魔的な美が引き立つ。

「ツマリ、僕ガ醜悪デアレバアルダケ、君ガ途方モナク美シク見エルッテコトサ」
(「瘋癲老人日記」より)

と、本文中で主人公の老人が述べているとおりの企みが見事に成されている。
 しっかし、なんてエロイおっさんなんだ…なんと醜悪なエロであることよ…こ、これも文学…なのね…と感心しながら読了。「鍵」は、陰湿なおっさんが妻を酔わせて寝ている隙に毎晩犯す話。夫婦がお互いに日記を書いていて、相手に読ませたがっている。相手が留守の隙に読んでいるという前提で、次の日記が綴られる。少しだけ漏れ出る秘密はエロスにとって最大の妙薬だ。醜悪さにせよエロにせよ、読んでいる相手を只事じゃない感じまで差し迫らせれたら、それは文学なんだと思う。
 徹底したこだわりが作中での迫力になる。「こだわり」がわたしの作品にはまだまだ欠けていると感じた。
 ちなみに、瘋癲と書いて「ふうてん」と読む。癇癪(かんしゃく)かと思った。癇癪老人と瘋癲老人では全然イメージが違った。(笑)


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鍵・瘋癲老人日記 

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