読書の記録

No.115 2005.8.22

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日本人の心のゆくえ /河合隼雄

(岩波書店 /1998年発行)


 日本に臨床心理学を定着させた河合隼雄先生が『世界』という雑誌に連載した記事。阪神大震災や地下鉄サリン事件、夫婦、援助交際など社会を騒がせた現象を取り上げながら、日本人の心について考察していく。

 話し上手な彼の著作は、専門知識がなくても面白く、さらに一般人のための説明でごまかされることなく一つ高いところへ連れて行ってくれる。理論をこねくりまわすのではない。臨床家としての実感を通して出てきた言葉は、読む方も実感として納得できる。また、彼の話は、だから日本は駄目だという欧米礼賛論でも日本は素晴らしいという論でもない。一人一人の人間と文化というものを 先入観と切り離し、包括的に考察し、強い言葉で語っているのが読んでいて気持ちよかった。

 講演を聴いたときも、彼は「物語の持つ力」について繰り返し強調していた。この本にもそのことが出ている。彼の言葉は、小説家を目指すわたしに勇気を与える。

(抜粋)

「言葉というのは無力なんだな」と思わされる場面に、私も職業柄何度も立ち会ってきた。  だからと言って、われわれは沈黙しているべきではない。この体験を自分に納得した形で「物語ること」、物語の創造の努力をしなくてはならない。


 日本人と欧米人の違いを知るのはいいことだと思う。世界に出て行くために、日本人である自分の良さを伸ばしたい。もっといろいろなことが知りたい。もっともっと視野を広げたい。いろいろなことについてもっと深く広く考察できるようになりたい。


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