菊葉荘の幽霊たち /角田光代
(角川書店 /2000年発行)
この間直木賞を受賞した角田光代さん。あちこちの文芸誌で名前を目にするようになった(のか今までよりもわたしの意識が向くようになったのか)。ずっと読んでみたかったのだけど、賞を取ったものだから図書館の棚から出払ってて常に不在状態。ようやく見付けたのがこの一冊。まあ本屋で本買えよというつっこみはおいといて。
とても面白かった。久しぶりに日本の女性作家の本を面白いと思えた。あ、ほかのとちゃんと違うと思ったし、上手いと思った。登場人物それぞれが、何をしでかすか分からない、いい意味での不気味さがある。作者がタクトを振って操るストーリーの中で翻弄される傀儡の人物ではなく、登場人物自身が自ら何かを起こしていく感じ。特に派手な展開があるわけじゃないけれど、彼らからひとときも目が離せなくなる。夢中で読んでしまった。
友人の吉元が菊葉荘の前でここに住みたいと言い出すところから物語は始まっていく。仕事を辞めてしまった主人公は、特に他にすることもないという理由で、菊葉荘の空室を作るべく、住民の情報の収集をはじめ、菊葉荘の住民の一人である大学生の部屋に住み込むことになる。
会話も自然だし、どこか脱力するような笑いがあるかと思えば、じわじわと鳥肌がたつような迫力がある。人間の生々しさがちょうどいい距離感で書かれていると思う。最後のシーンはとてもよかった。久々に「合う」作家を見つけた。他のも読まなきゃ。わくわく。
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